【ものづくり】久留米かすりができるまで
久留米かすりができるまで
皆さん着物がどうやって作られているか考えられたことはありますか?
着物は大きく分けて「染の着物(後染の着物)」と、
「織りの着物(先染の着物」に分けられます。
染めの着物は、白い糸を織って白い生地を作り、その上に柄付けしていきます。生地を作った「後」に柄付けをすることから「後染め」の着物とも言われます。
写真:訪問着(千總)
織りの着物は、生地を作る「前」の糸に、柄になるように色を付け織っていくことで柄を出します。
生地を作る「前」に柄付けをすることから「先染め」の着物とも言われます。
写真:久留米かすり(山村健)
久留米かすりは、後者の「織りの着物(先染の着物」です。
久留米かすりというのは耳にしたことはあるけどよくわからない。
「久留米かすりって高いよね」「いいものっていうのは分かるんだけど‥」
というお声から、今日は久留米かすりができるまでをご紹介させていただきます!
久留米は大きく分けて、「手織り」と「機械織り」があるのですが
こちらでは機械織りをお伝えさせていただきます。
久留米かすりができるまで「機械織り編」
久留米かすりができるまでは、機械織りと言っても約30工程あり、人の手が欠かせないものになっています。
1.柄つくり(図案)
柄のデザインを行います。パソコンでカチカチと!
2.絵紙(えがみ)
デザインした柄を方眼紙のような図案専用の用紙に書き、経緯(たてよこ)糸の配分・配置を決めます。
経糸だけでも柄・糸の種類によっては1100本近くの糸を使用します(驚)
3.下絵
生地は仕上がり時に縮みが生じるため、縮み分を考慮し、絵紙を書き直します。例えば丸い水玉模様を作る際、縮むことを考えて、下絵では真ん丸ではなく、少し面長になります。
5.経はえ(たてはえ)
必要な経糸を用意する工程です。通常750本~1120本の経糸を使用します。(一反分は幅38㎝・長さは12.9m)
6.緯はえ(ぬきはえ)
経糸と同じように必要な緯糸を用意する工程です!
7.糸たき(精錬)
糸の不純物を取り除くため2~4時間ほど沸騰したお湯につけてます。
8.さらし(漂白)
美しい染め上がりのため(ムラにならないように・染料が均等に入るように)糸を漂白します。
9.のりづけ
糸の乱れを防ぐため糸にのりをつけます。のりつけは完成した久留米かすりには見えることのない工程ですが、織っていくとき、くくりをするときなど大事な工程の前に必ず行われます。糸を綺麗に整える役割ののりつけで、綺麗な柄が生まれます♡
10.括り(くくり) 経糸も、緯糸も
染めたい所、染めたくない所と分けるために、染めたくないところに綿糸を機械でくくります。
くくった部分が染色時に色がつかず解いた時、白く残り、織った時に柄になっていきます。
▽生地になる木綿糸に、糊付けした木綿糸を巻き付けたもの
11.化学染色
糸に色を付けていきます。染め方はいろいろ。 ▽機械の棒に糸をかけて、ぐるぐる回して底にある染料に染めていきます。
くくった糸がズレてしまわないように優しくゆっくり時間をかけて染めていきます。
▽模様をつけない糸はドボンっと染料に浸け染めていきます
12.水洗い
染めたときついた不純物などを洗い流します
13.絣解き(かすりほどき)
くくった綿糸を解きます。くくった木綿糸の下は色が付かずに模様ができます。綺麗ですね!!
▽下のくるくるした綿糸はくくっていた綿糸です。昔は破棄されていましたが今はきれいに洗い、成型しなおし再利用されています。ななほうでもピアスや、コースターなど作り、これからも企画していきたいと思います!
14.水洗い
もう一度水洗いをします。染めた色が際立ちます。
15.のりつけ、乾燥
織りの工程へ入る前、糸が乱れないように再びのりづけし天日干しをします。
16.経割(柄合わせ)
経糸を柄になるように束ねていきます。
※(ずれないようにところどころ糸を縛って留めていきます。)
17.割り込み・筬通し
絵紙で決めた糸数に沿って無地糸とかすり糸を並べていきます。
18.経巻き(たてまき)
織機に経糸をセットするため巻き箱に巻きとります。
19.アゼかけ(綜こう通し)
巻き箱に巻き取ったものを上下に分かれた綜こうに通していきます。
20.機仕掛
経糸を一本一本繋いで機械にセットします。
21.緯割
図案の配分を考えて、緯糸を糸篠(いとししの)に合わせて割っていきます。
22.枠上げ
割った緯糸を緯取枠(ぬきとりわく)に巻き取ります。
23.トング巻き
緯糸をトングに巻きとります。機械にのせたとき左右に一生懸命動いているのがこのトングです!
24.織り
1人に4台担当していることが多いです。数時間に一度機械の点検をし、またその日の天気や湿気具合によって、打ち込む力をけえなければいけません。
25.湯のし・乾燥
織り上がった布を防縮・色とめをかねて湯通し、乾燥させます。
工程途中につけたのりが取れ、綿の素材が優しく感じられるようになります。
26.整反(せいたん)
傷などの有無を検査・確認していきます。
まとめ
約30工程を約1か月半ほどかけ作られていきます。
織機織りといっても、技術や時間、人の手が多くかけられていることがわかりますね!!